こだわりのひと品

駅でひと息、あたらしい一杯を。 NewDays流カウンターコーヒー開発ストーリー

商品戦略部 デイリー食品ユニット S.M.さんインタビュー
商品戦略部 デイリー食品ユニット S.M.さん
エキナカでのアルバイトを通じてその可能性に魅力を感じ、2014年に入社。NewDaysの店舗にて店長として販売・店舗運営を経験後、本社営業部にて実務に従事。その後、商品戦略部にてMD(マーチャンダイザー)としてコーヒーやホットスナックなどレジカウンター商品の開発に携わる。現在は店舗と本社双方の経験を活かし、お客さまの日常に寄り添う商品開発を推進している。

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通勤の途中にふと香る、淹れたての一杯。NewDaysのカウンターコーヒーは、駅ナカでありながら"抽出したてのおいしさ"にこだわってきました。
2024年のリニューアルを経て、さらなる進化を遂げたこのコーヒー。なぜ、秒単位で急ぐ駅ナカで、おいしさとスピードを両立できるのか? そして、季節ごとに世界を旅するような体験ができる「コーヒージャーニー」に込めた狙いとは?
今回は、株式会社JR東日本クロスステーションの商品戦略部のS.M.さんに、豆選びから抽出設計までの裏側、そして駅ならではの「早さ」と「品質」を両立させる哲学について伺いました。

NewDaysのカウンターコーヒーは、"抽出したてのおいしさ"が主役だにゅ!
どんな豆を選んで、どんな工夫でこのおいしさを実現してるのか...読んだら飲みたくなるにゅ〜!
Newzarashi 1
にゅざらし

現場から鉄道、そして商品開発へ。
経験が生む視点

S.M.さんは2014年にJR東日本クロスステーションに入社されたそうですね。これまでの経歴を教えていただけますか。
私は入社後、八王子支店に配属され、その後はNewDaysの店舗で販売や店舗管理を1年ほど経験しました。そこから6〜7年はコンビニ事業に携わり、その後は東日本旅客鉄道(JR東日本)に出向していました。そこでは駅のイベントや物産展の手配など、コンビニ以外の駅の仕事に触れる機会がありました。そして、2024年10月に現在の商品戦略部に着任しました。現在はカウンターコーヒーをはじめ、ホットスナックや中華まんなど、レジ周りのカウンターに関する商品の開発を担当しています。
商品戦略部に着任された2024年10月といえば、ちょうどNewDaysのカウンターコーヒーメニューが全面リニューアルされたタイミングですね。
そうなんです。私が着任したその日がリニューアルがスタートしたという、まさに運命的なタイミングでしたね。NewDaysとしてもカウンターコーヒーに力を入れていく方針で、販売店舗数を増やしたり、コーヒー豆を刷新したりという大きな変革の時期でした。
開発担当としてコーヒーに向き合うことになったわけですが、もともとコーヒーはお好きでしたか?
実は......もともと私はコーヒーがあまり飲めなかったんです(笑)。ですが、今回、この仕事を担当することになり、開発のために仕事として飲むようになってから劇的に変わりました。そこからはもう、めちゃくちゃ好きになりましたね。今では1日2〜3杯は飲みますし、自宅でも豆を挽いて飲むほど「コーヒー中毒」と言えるくらい大好きになりました。
ゼロからのスタートだったんですね。
そうですね。知識がない分、まずは開発を共にするお取引先さまとコーヒーについて話せるように、まず豆の生産国や品種の系統を知ることから始めて勉強しました(今でも勉強中です)。選定の際は1回につき3〜4カ国、多いときは5〜6カ国以上の豆を飲み比べます。さらに同じ豆でも焙煎の深さを変えたものを何パターンも試すので、カッピング(試飲)の時間は毎回真剣勝負です。ただ、自分がお客さま目線に近いところからスタートしたおかげで、「コーヒーに詳しくない人でも違いがわかる味」や「高級すぎず、手に取りやすい価格での価値」を追求できたのかもしれません。

定番「キリマンジャロブレンド」の進化とターゲットの拡大

今回のリニューアルで、定番コーヒーに「キリマン(キリマンジャロ)」を選んだ理由は何だったのでしょうか。
かつてのコンビニコーヒーは、中高年男性が好むような苦味が強く、ガツンとした飲みごたえのあるものが主流でした。しかしコロナ禍を経て、コーヒーの楽しみ方は多様化し、若い方や女性も含めて「香りが良くて飲みやすいコーヒー」を求める層が増えている、という傾向も見られたんです。
そこで選ばれたのがキリマンジャロなんですね。
キリマンジャロは知名度が高く、華やかな酸味と香りが特徴です。これまでNewDaysのメイン客層ではなかった女性や若年層の方にも飲んでいただきたい。そう考えたとき、香りが良くて飲みやすいキリマンジャロが一番合うのではないか、というのが選定の理由です。

「コーヒージャーニー」で巡る、世界各地の味の旅

定番の「キリマン」に加えて、「コーヒージャーニー」と題した期間限定のシングルオリジン(単一豆)も展開されていますね。
はい。このシリーズは、単一の生産国の豆を使用することで、その土地ごとの個性をダイレクトに味わっていただく企画です。定番のキリマンジャロが、飲みやすさ重視であるのに対し、こちらはよりハイクオリティで、よりコーヒー好きのお客さまにも味の個性が伝わるような豆を選定しています。
シングルオリジンをコンビニで展開するのは珍しい気がします。
そうですね。シングルオリジンは生産量が限られているため、規模が大きすぎると全店舗での展開が難しい場合があります。その点、NewDaysの規模感であれば、そういった希少な豆でも定期的に入れ替えてご提供することができます。規模が大きすぎないからこそ、小回りを利かせていろいろなコーヒーに挑戦できる。それが私たちの強みになっています。
これまでのラインナップについて教えてください。
まず、スタートを飾ったのが「コスタリカ」です。続いて夏に展開したのが「ブラジル」。夏場はアイスコーヒーで飲まれる方も多いので、氷を入れても味わいが薄まらないよう、季節に合わせて深めの焙煎を採用しました。

こうして開発を重ねるなかで、試作の段階でふと「これはレベルが違う」と感じる瞬間があります。現在販売中の「グアテマラ」も、まさにそんな手応えのある仕上がりになりました。社内の試飲でも「圧倒的に美味しい」という声が上がった、自信作なんです。
それはかなりの手応えですね。そして2026年4月からは新しい豆が登場しましたね。
「タンザニア」ですね。これは定番のキリマンジャロと同じ生産国ですが、より個性を際立たせた、いわば「究極のキリマンジャロ」です。通常のキリマンジャロよりもさらにフルーティーで、コクもリッチ。飲みやすさの中にしっかりとした飲みごたえを感じていただける仕上がりになっています。

「10円玉」が象徴する、NewDaysのスピード哲学

開発にあたって、特に印象に残っていることや重視したことはありますか?
やはり「時間」ですね。駅をご利用のお客さまは常に時間を気にされています。以前私が店舗にいた時、「コーヒーができるまで1分かかります」とお伝えすると、その時間の都合がつかず購入を見送られるお客さまもいらっしゃいました。特に新幹線の改札内などでは、1分1秒が購買を左右しますので。
駅ならではの時間に追われる環境ですね。
NewDaysの原点であるキオスク売店の時代には、こんな逸話があります。昔のベテランスタッフは、ひと目で「あのお客さまは〇〇新聞を買う常連さんだ。いつも〇〇円で、お釣りは〇〇円」と察知し、10円玉を数枚握り、新聞を渡すと同時にパッとお釣りを渡す。この「1秒でも早く」という意識は、今の私たちにも深く根付いています。

そして、その考え方は今回のリニューアルにも反映されています。2024年10月からのリニューアルでは、豆を粉砕する工程を調整し、抽出時間を以前より約10秒短縮しました。味のクオリティは維持しながら、少しでも早く提供する。この両立には常にこだわっています。
ここまで、「品質」へのこだわりと、駅ならではの「早さ」について伺ってきましたが、最後に、今後の展望について教えてください。
私たちが目指しているのは、駅を利用するすべての方にとっての「ホッとするひととき」を作ることです。今後は、これからもっとご利用いただきたい若い世代や女性のお客さまにも、さらに手に取っていただけるようにしたいですね。そのために、ラテメニューの拡充も検討しています。

通勤時のお供としてはもちろん、長距離移動や旅行の際の安らぎの一杯として。平日は定番のキリマンジャロですっきりと、休日は期間限定のシングルオリジンで豊かに......といった使い分けも楽しんでいただければ嬉しいですね。より高品質で多様なラインナップを目指し、これからも開発を続けていきます。

取材・執筆:船寄 洋之
撮影:苅部 太郎