350品のパッケージを「ニュータス」にリニューアル
商品をお客さまへの"贈り物"に
商品戦略部 販売促進ユニット C.Kさんインタビュー

2019年、東日本旅客鉄道株式会社へ入社。駅業務や乗務員を経て、2023年に公募制異動でJR東日本クロスステーションへ出向し店舗・支店業務を担当。現在は本社商品戦略部で販売促進UTのブランド担当として「ニュータス」の立ち上げに従事している。
INDEX
NewDaysのプライベートブランド「ニュータス」の誕生にあたって、これまでのプライベートブランドのパッケージを全面リニューアルするプロジェクトの中心となって活躍した株式会社JR東日本クロスステーションのC.Kさんに、新しいパッケージに込めた思いや開発の裏話をうかがいました。
新パッケージのポイントは、"リボン"だにゅ!
車掌時代から抱いていた
「駅で何かしたい」という情熱
- C.Kさんは、少し変わった経歴をお持ちだとうかがいました。
- そうなんです。私はもともとJR東日本の東北本部に採用されて、以前は乗務員をしていたこともありました。JRには公募制異動という、自ら手を挙げてグループ会社に2年間出向する制度があります。それを利用して、2023年の11月からJR東日本クロスステーションのリテールカンパニーに出向しています。
- なぜ手を挙げたのですか?
- もともと、「駅で何かやりたい」という思いが強くあったんです。きっかけは、2016年にとある駅がリニューアルしたとき。それまで暗いイメージがあった場所が一気に明るくなって、「駅ってすごいな」と関心をもつようになりました。それで、NewDaysをはじめ駅での事業を展開しているJR東日本クロスステーションに勉強しに行きたいなと。
- 今回の「ニュータス」の立ち上げは、C.Kさんにぴったりのプロジェクトだったんですね。どのような役割を担われたのでしょうか?
- NewDaysはこれまで、パンなら「Panest」、ドリンクやスイーツなら「EKI na CAFE」と、商品のカテゴリーごとにプライベートブランドがあって、パッケージもそれぞれ異なりました。今回「ニュータス」としてプライベートブランドを統合するにあたって、パッケージも統一させることになり、私はそのプロジェクトを進める役割になりました。
外部のディレクターやデザイナーの方たちに、私たちのパッケージに対する想いを汲んだデザインをいくつか作成いただき、「ニュータス」のパッケージデザインを決め、まずは350品を新しいパッケージにしました。今後も、商品の開発や改良とともに「ニュータス」のパッケージにしていきます。
商品は贈り物
パッケージはラッピング
- 新しいパッケージは、どのように誕生したのでしょうか?
- 「ニュータス」のロゴがプレゼントボックスに決まったこともあり、デザインのコンセプトを「お客さまへの贈り物」にしました。我々がこだわりをもってつくった商品を、お客さまに大切にお届けしたい。そんな思いを込めて、商品をきれいにラッピングするようなイメージで、リボンをほどこすことにしました。
ただ、商品によって印刷できる面積が違って、パンやスイーツならクロスのリボンにできるのですが、おにぎりやトルティーヤだと面積が小さくて難しい。そこで考えたのが、「ラインリボン」です。リボンにもいろいろなかけ方があって、ライン状にする方法もありますよね。ラインリボンのパターンを入れることで、すべてのパッケージに必ずリボンをあしらって「ニュータス」としての統一感を出せるようになりました。
「おいしい」「やさしい」「たのしい」をパッケージで表現すると
- 「ニュータス」は、商品開発にあたって「おいしい・やさしい・たのしい」の「3つの情熱」を掲げていますが、これはパッケージデザインにも反映されていますか?
- まず「おいしい」に関しては、印刷部分を真ん中ではなく隅に寄せて、中の食べ物を見やすくしています。こうすることでシズル感が出て、よりおいしさが想像できるようになります。また、「ニュータス」のロゴが緑色で、最初はすべての商品にそのままロゴを入れるつもりでしたが、パンやスイーツに緑色はどうも合わなくて・・・。そこで、一部の商品カテゴリーでは、ロゴを茶色にしています。主役はあくまで商品なので、パッケージは主張しすぎず、かつ「ニュータス」らしさを表現できるものを目指しました。
「やさしい」は、NewDaysの店舗では商品を重ねてコンパクトに陳列することが多いうえに、電車に乗るために急いでいるお客さまもいるので、ぱっと見てわかりやすいデザインを意識しました。重ねても見える場所に商品名を配置して、カテゴリーごとにデザインを統一させることで情報を見つけやすくしています。また、外国のお客さまでもわかるように商品名には英語表記を並列して、味を想像できるようなイラストやアイコンを積極的に入れるようにしています。
「楽しい」は、もっともパッケージで表現できるところだと思います。例えばスイーツには、基本のデザインはそのままに、部分的にアレンジを加えていくシリーズがあります。
さらに今後は、いい意味でレギュレーションを無視した、ユニークなデザインのパッケージも出していく予定です。訴求したいターゲットが明確にあるものや、企業とのコラボ商品などは、場合によってはリボンも入れずに、より商品の魅力が伝わるようなパッケージにします。毎週火曜日に新商品が店頭に並ぶので、ぜひ楽しみにしていてください。
- ちなみに、C.Kさんの推しパッケージはありますか?
- カウンターコーヒーのカップですね。以前はロゴが大きく印刷されていたんですが、新しいデザインはさりげなくておしゃれ。カウンターコーヒーは、デザインを変更したあとも持ち歩いたときに恥ずかしくないデザインがいいなと思っていたので、個人的にとても気に入っています。
社内のバイヤーたちに同じ方向を向いてもらう
- 何百品ものパッケージを一気にリニューアルするのは大変なことですよね。いろいろと調整が必要だったのでは?
- リニューアル前は、弊社に40人ほどいるバイヤーが、それぞれ商品のカテゴリーごとにパッケージデザインを決め、印刷の手配をしていました。バイヤーによって扱っている商品も、デザイナーも、取引している印刷会社も違うので、パッケージのデザインを統一するためには、各バイヤーに相談して、それぞれの事情に対応していく必要がありました。
デザイナーから新しいパッケージのデザインがあがってきたら、実現可能かどうかバイヤーに確認して、その都度印刷費が予算内に収まるようにしたり、メーカー側から「ここは透明にしてほしい」などの条件が出ている場合は、「ニュータス」としての統一感を保ちながら条件を満たせる方法を探ったりしました。最終的に、カテゴリーごとにデザインのレギュレーションを決めて、指示書を作成しました。現在は、各バイヤーが指示書にそってパッケージをつくり、私のほうでチェックする体制で進めています。
- これまでの慣れているやり方を変えることに、抵抗するバイヤーはいませんでしたか?
- こちらの提案を、「いいですね」と受け入れてくれる柔軟なバイヤーが多かったですね。私自身も、リテールカンパニーに来て間もなかったので、全員とフラットに接することができたと思います。
また、パッケージを調整していく中で、グループチャットをつくってなるべく文字に残したり、直接説明しに行ったりしているうちに、バイヤーの意識の変化を感じるようになりました。バイヤーから新商品のパッケージ案があがってくるとき、はじめは「指示書通りにデザインした」という感じだったんですが、最近は「こういうコンセプトで販売する商品なので、こういうデザインにしたい」などと、具体的に相談されるようになりました。パッケージデザインに込めた思いや意図を、根本から理解してくれていてうれしいです。
色調整のために各地の印刷所に出向いた日々
- ほかにも苦労したことはありますか?
- 印刷の調整には苦労しました。パッケージの印刷所は茨城や大阪など全国にいくつもあり、同じ色でも印刷所によって仕上がりが違います。新しいパッケージでは、リボンの色を商品のカテゴリーごとに揃えているので、印刷所によって差が出ないよう実際に現地にうかがって調整をしました。
とくにパンのパッケージの印刷立ち会いには、時間がかかりました。パンの特徴によって特色を使ったり、フィルムの裏から印刷したりする必要があって、ひとつひとつ話し合いながら印刷方法を決めていきました。
それから、ペットボトルのお茶のパッケージも難航しました。中身のお茶の色によって、パッケージの色の見え方も変わってしまうことが途中でわかって、ディレクターやバイヤー、お茶のメーカーの方と、茨城にある印刷所まで検証しに行きました。
刷ってもらった見本を、実際にお茶の入ったペットボトルに巻きつけてみて、「もう少し青みがかった色にしてください」などとお願いし、いくつもの色のパターンから理想的な色を選んでいきました。1パターン刷るのに1〜2時間かかって、その間ずっと会議室で待っていたのを覚えています。
そうやって各地の印刷所に出向きながら、3か月くらいかけて色の調整をしていきました。すごく勉強になったし、印刷所はなかなか行ける場所ではないので、大変でしたがいい思い出です。
エキナカのあらゆるお客さまに
「ニュータス」ならではの楽しみをお届け
- 最後に、「ニュータス」としてお客さまにどのような体験を届けたいですか?
- NewDaysは多くの店舗をエキナカに構えているので、通勤や通学で使うお客さまもいれば、旅行で使うお客さまもいらっしゃる。どんなお客さまにも、「お、なんだこれ新しいな」とか、「このパッケージかわいいな」とか、ちょっとしたワクワクをお届けできたらいいなと思っています。弊社のバイヤーもみんな、パッケージを含めてお客さまに「楽しみ」を届けることを一番に考えています。JR東日本グループらしさを大切にしつつ、私たちらしい、いい意味でとがった商品を今後も出していくので、ぜひ楽しみにしていてください。
取材・文:吉田 真緒
写真:苅部 太郎